What are the odds that space junk will land on your head?2011/09/23 22:22

【宇宙ゴミがあなたの頭の上に落ちる確率は?】

地球に落下しつつある米国の大気観測衛星(UARS)について、「文部科学省は日本時間の24日未明から午前にかけて、衛星が日本付近の上空を通過すると発表した。NASAによると、破片が人に当たる確率は3200分の1で、特定の1人に当たる確率は20兆分の1以下になる」、と新聞(ネット版)で報道されました。(*1)

NASAが発表した「破片が人に当たる確率」は普通の人には検証のできない。NASAの「再突入物体残存性解析ツール(ORSAT)」というプログラムが計算するのだそうだ。けれどもNASA公表資料から、もし日本に全破片が落ちたときどれくらいの被害になるかは計算できそうなのでやってみました。(*2)

NASAの資料より(文科省の英訳)

写真2

進行方向の影響範囲は800kmで(写真上)、地上に落ちた場合の事故範囲(Debris casualty area)は26破片で合計22.38m^2 だから(写真下)、地上の影響範囲は0.02238km×800km=18km^2 になります。
日本の人口密度は343人(平成17年)ですから影響範囲内に6174人が生活しているけれど、負傷する可能性のある人は0.008人。だから誰も騒がない。
普通の人間が簡単に計算できるくらいまで状況を分析済みというNASAはやっぱりすごい。
----------------------------------------
*1: 「特定の一人に当たる確率は20兆分の1以下」はNASAの発表資料にはありません、新聞社の科学担当記者さんが自分で計算したのでしょう。 地球人口を60億人として、1/3200×1/60億=1/19兆2000億。 19兆は20兆より小さい、だから「20兆分の1以下」 といいたいわけですね。 残念でした、間違えてますよ。 『1/20兆 < 1/19兆』ですから、「20兆分の1より大きい」が正しい。
*2: NASAの発表資料は文部科学省が和訳してここにあります。

コメント

_ yossy ― 2011/09/25 23:52

公式発表を論破した辺り、さすが統計王ですね。以上と以下ではニュアンスどころか、数値の意味が全く違うじゃないですか。こういうことが、金融や経済、危機管理のなかでもあるはずと思うとウンザリします。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
〇に該当するひらがなを入力すると送信できます。海外のスパムメール対策です。
「石の上にも〇〇〇〇」

コメント:

トラックバック