I heard Dr.Soley's speech through a simultaneous interpretation.2011/01/21 12:40

【OMG会長 Richard Soley 氏の講演を聴いた】

1月20日、IPAで開催された『統合系システム高信頼性設計のためのモデルベース開発技術セミナー ~システム記述言語 SysML の最新動向~』というセミナに出席しました。

1月17日の話ですが、新幹線が情報システム系の障害で全面運行停止となり、乗客8万人に影響したというニュースがあった(※1)。新幹線そのもののトラブルではなく、新幹線を運行管理するシステム、いわば周辺系システムのトラブルだったようだけれど、重大な事故(例えば追突など)に発展しないで運行停止したのはよくできたシステムであると思う(あるいは運用者が判断して停めたのかもしれないが・・・)。(※2)

情報システムの開発には多くの人が関わるわけです。”要求”するユーザ企業の人、”要求を具現化”するベンダ企業の人、さらにはそれらの企業の周辺には実務部隊としての外注企業の人もいるわけだ。ユーザ企業は A を要求したが、ベンダ企業が A' と解釈し、さらに外注企業が A'' と解した、ということがあっても不思議じゃない(実例は知らないぞ)。これがトラブルに発展して、ユーザ企業がベンダ企業にトラブルを解析させたら、外注企業が「A'' なので仕様書どおりです」と報告して、ベンダ企業が「そうか A' か」と納得して、さらにユーザ企業が「A なら要求どおりだ」と納得した、ということがあっても不思議じゃない(実例はしらないぞ)。

そんなわけだから、ユーザ企業とベンダ企業の間のコミュニケーションは文字の羅列だけではだめで、「見える化」しよう、「モデル化」しようという流れにある。

Richard Soley 氏はOMG会長ということです。OMGといえば、上記のモデル化表記法として UML を推進している団体で、UML は日本でも、2009年5月に JIS X4170 という工業標準規格になった。社内標準語を英語にしたという企業がでてきたけれど、技術屋はUML語をしゃべれとJISはいっているわけだ。(※4)

SysML はOMGのサイトによれば、UML とは図のような関係にあるらしい。とすれば、UMLは2.0バージョンまでで終了で、これからはSysMLとして発展させようということかもしれない。(ちなみに、JISX4170はUML1.4レベルです)

SysMLとUMLの関係(OMGのサイトより)

※1 JR東の新幹線システム障害、原因は処理限度値のオーバー
※2 交通系情報システムは国の重要インフラシステムなので、いろいろな人達が寄ってたかって、さらに高信頼なシステムにしようと検討中だということは以前の記事に書きました。(「たかって」とは「人に金品をせびる」という意味ではありませんぞ --> 日本語勉強中の Gao さんへ)
※3 OMGの日本語サイトはここ
※4 JIS規格の内容は、日本工業標準調査会のサイトから検索できます