pls. call a 119 emergency number, not 9112009/03/19 21:48

【プリーズ、救急電話は119番にしてね。911番ではありませんよ】

若年性認知症の発症率が 2009.3.21 の朝日新聞夕刊に出ていた。厚労省研究班推計ということで、以下のとおりであった。
40代後半 10万人あたり27.1人 => 2.71×10^-4 => 0.027%
50代前半 10万人あたり51.7人 => 5.17×10^-4 => 0.051%
50代後半 10万人あたり115人 => 1.15×10^-3 => 0.115%

この数字がどのくらいのものかピンとこないので、交通事故死亡率や火災死亡率と比較してみた。

H17年の交通事故死者数(高速道路上は含まない) 6586人
H17年の国勢調査 日本の人口 127767994人
H17年の交通事故死確率 6586/127767994 = 5.155×10^-5

日本にこの先20年住むとして、この間に交通事故で死ぬ確率を計算する。
~A1を1年目に死ぬ状態を表すものとし、A1を1年目に死なない(生きている)状態を表すものとすると、1年から20年の間に死ぬ確率は、P(~A1 or ~A2 or ... or ~A20) と表すことができる。
P(~A1 or ~A2 or ... or ~A20) = 1 - P(A1 & A2 & .... A20)
= 1- P(A1)×P(A2)×・・×P(A20)
P(A1) = 1- 5.155×10^-5 = 0.99994845 は1年間に交通事故で死なない確率で、H17年の交通事故死亡率がこの先20年このままと仮定して(そう考える以外に方法がないから)、
P(A1) = P(A2) = ・・・ = P(A20) なので、
1-0.99994845^20 = 0.001030 = 0.1%

住宅火災死亡率 消防庁
H17年の住宅火災死亡者 1220人
H17年の住宅火災死亡率 10万人あたり0.95人 => 9.5×10^-6

日本にこの先25年住むとして、住宅火災で死ぬ確率は、交通事故死と同じ様に計算すればいい。
1-(1-9.5×10^-6)^25 = 0.00023747 = 0.024%

【結論】
50代後半の認知症発症率は、日本に20年間生活した場合に交通事故死するかもしれない確率にほぼ等しい。
40代後半の認知症発症率は、日本に25年間生活した場合に住宅火災で死亡するかもしれない確率にほぼ等しい。

【補足】
日本に90年間住んだ場合、住宅火災で死ぬ確率は、
1-(1-9.5×10^-6)^90 = 0.000854 = 0.085%
日本に90年間住んでも住宅火災で死ぬ確率は0.1%にもならない。だから、住宅火災警報機は必要ないと思う。行政側は「強制する」と決めた経緯を公表すべきだ。

【2010.9.23追記】
慶応大学のグローバルキャンパスに「プロジェクト評価論2007年」という授業がありました(以下のURL参照).このなかで,住宅火災警報機の義務化にあたり費用対便益の評価をしなかったのではないかという話しがありました.
http://gc.sfc.keio.ac.jp/cgi/class/class_top.cgi?2007_25269