i can't tell the difference between good and fine wine2010/03/25 12:57

【いいワインととすばらしいワインの違いがわからない その1】

ネットワークの稼働率を二つの方法で解いてみたら、微妙に違ったのですけれど、その違いがわからない。わかった人はコメントください。以下の情報処理試験平成10年秋の問題です。

情報処理試験H10年秋の問題

【解答1】
LAN設備が稼働している状態を N、故障している状態を ¬N と表す。
ルータ1が稼働している状態を R1、故障している状態を ¬R1 と表す。ルータ2,3,も同様とする。
この例のLAN設備が稼働している状態とは、ルータ1が稼働している状態、または、ルータ2とルータ3がともに稼働している状態のうち、どちらかの状態にあればいいのだから、論理式で表すと、((ルータ1が稼働 or (ルータ2が稼働 & ルータ3が稼働))となる。
よって、本例のLAN設備の稼働率は P(R1∨(R2∧R3)) という確率計算をすればよい。
P(N) = P(R1∨(R2∧R3)) = 1-P(¬R1∧¬(R2∧R3)) = 1-P(¬R1)P(¬R2∨¬R3)
ここで、P(¬R2∨¬R3) = 1-P(¬(¬R2∨¬R3)) = 1-P(R2∧R3) = 1-P(R2)P(R3)
よって、P(N) = 1-P(¬R1)(1-P(R2)P(R3)) = 1-0.1×(1-0.9×0.9) = 0.9810
答えは、(イ)ですね。

【解答2】
P(N) = P(R1∨(R2∧R3)) の計算ですけれど、先日、国立情報学研究所の新井紀子氏の本、「数学は言葉」という本を読んでいたのですよ。そしたら、
----------------------------------------------------
A∨(B∧C) と (A∨B)∧(A∨C) は同値
「数学は言葉」 新井紀子著 東京書籍 2009年9月 105ページより 
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とありましたので、この計算に適用してみました。
R1∨(R2∧R3) = (R1∨R2)∧(R1∨R3) となるじゃありませんか。
同値なんだから、これで展開しても同じ値になるはずだと計算してみました。
P(N) = P((R1∨R2)∧(R1∨R3)) = P(R1∨R2)P(R1∨R3)
ここで、P(R1∨R2) = 1-P(¬R1∧¬R2) = 1-P(¬R1)P(¬R2)
同様に、P(R1∨R3) = 1-P(¬R1)P(¬R3)
よって、P(N) = (1-P(¬R1)P(¬R2))(1-P(¬R1)P(¬R3)) となります。
数値を代入すると、P(N) = (1-0.1×0.1)(1-0.1×0.1) = 0.9801
計算結果があいません。差は、0.0009 です。

LAN設備の稼働率は 約0.98 という分にはいいのですが、この違いはなんでしょうか。
解答2は間違いということでしょうけれど、何度見ても計算ミスはないのです。
最初に、「同値」と置いたことが間違いなのかもしれないけれど、すっきりしないなあ。
わかる方はご教授ください。

never give up2010/03/27 17:25

【いいワインとすばらしいワインの違いが分からない(その2) -あきらめないぞ-】

2010年3月25日の記事のつづきです.
さらにもう一つの方法でも計算してみました.

【解答3】
P(A∨B) = P(A)+P(B)-P(A∧B) という公式から、
P(R1∨(R2∧R3)) = P(R1)+P(R2∧R3)-P(R1∧(R2∧R3)) = P(R1)+P(R2)P(R3)-P(R1)P(R2)P(R3) = 0.9+0.9*0.9-0.9*0.9*0.9 = 0.9810
解答1と同じになりました。

解答2で、P(R1∨(R2∧R3)) = P((R1∨R2)∧(R1∨R3)) としたことがどうもあやしいと思う。
けれど、「A∨(B∧C) と (A∨B)∧(A∨C) は同値」というのは正しいと思うのです。
・・・・
もうすこし考えましょう。

convincing answer ?2010/03/31 12:58

【いいワインとすばらしいワインの違いがわからない(その3) -とりあえず納得か?-】

2010年3月25日の記事と2010年3月27日の記事の続きです。
A∨(B∧C) --> (A∨B)∧(A∨C) ならば、
P(A∨(B∧C)) -->P((A∨B)∧(A∨C)) と計算してもいいか、という問題です。
だめなようです。

A∨(B∧C) は図1のように表せます。(A∨B)∧(A∨C) は図2のようになります。
図を書いて納得しました。両者は等しくありません。

P(A∨(B∧C)) != P((A∨B)∧(A∨C)) です。
確率計算をするときは、()の中を先に展開してはいけない、ということになります。